TellAria

図書館の真夜中

本の世界に入るか、出口を探し続けるか、女子高生は迷う。

Beginning

目を、覚ましたとき、あたりは、まっくらだった。

いけない。眠って、しまっていた。遥は、あわてて、身を、起こした。放課後の、図書館。いつもの、いちばん、奥の、静かな、窓ぎわの、席で、本を、読んでいるうちに、うとうとと、眠りこんで、しまったらしい。壁の、時計を、見ると、針は、深夜の、十二時を、さしている。閉館は、とっくの昔。司書の、先生も、気づかずに、帰って、しまったのだ。遥は、たった一人、だれもいない、図書館に、閉じこめられていた。

「うそでしょ……」。遥は、暗い、書架の、あいだを、出口へと、急いだ。だが、正面の、大きな、扉は、固く、施錠され、びくとも、しない。非常口も、鍵が、かかっている。窓は、はめ殺し。スマートフォンは、いけないことに、教室の、机の中に、置き忘れて、きていた。完全に、閉じこめられて、しまったのだ。