町外れの観覧車
観覧車に乗るか、噂のまま放っておくか、少年は迷う。
Beginning
町外れの、遊園地が、閉園して、もう、三年に、なる。
錆びついた、門の、向こうに、色あせた、メリーゴーラウンドや、ペンキの、はげた、コーヒーカップが、雑草に、埋もれて、眠っている。そして、その、いちばん、奥に——夜空を、背に、大きな、観覧車が、黒い、影絵のように、そびえていた。もう、何年も、動くことの、なくなった、その、観覧車。だが、この、町の、子どもたちの、あいだには、一つの、噂が、ささやかれていた。
「満月の、夜だけ、あの、観覧車は、ひとりでに、まわりだす。そして、乗った、者は、いちばん、会いたい、人に、会える」。