山村の祭り囃子
古い慣習を守るか、新しい形に変えるか、若者は迷う。
Beginning
拓海が、生まれ育った山村に、帰ってきたのは、七年ぶりだった。
霧越村は、深い山あいに、ひっそりと、抱かれた、小さな集落だ。かつては、二百人が、暮らしていたが、いまや、残っているのは、五十人ほど。そのほとんどが、白髪の、お年寄りだった。子どもの声は、もう、聞こえない。田畑は、荒れ、空き家が、目立つ。都会で、仕事に、疲れ果てた拓海は、祖父の、三回忌をきっかけに、しばらく、この村に、滞在することにしたのだった。
村の、公民館の、うす暗い倉庫で、拓海は、それを、見つけた。