桜並木の手紙
手紙の主に会いに行くか、そっとしておくか、女性は迷う。
Beginning
毎年、桜が満開になるころ、その手紙は、あらわれる。
私の家の近くに、長い桜並木の道がある。春になると、うすももいろの花が、トンネルのように、空をおおう、私のいちばん好きな場所だ。その並木の、いちばん奥にある、一本の、ひときわ大きな桜の木。その根もとの、うろ——木の幹にできた、小さなくぼみに、毎年、一通の手紙が、そっと、置かれているのだ。
私が、最初にそれを見つけたのは、七年前の春だった。
手紙の主に会いに行くか、そっとしておくか、女性は迷う。
毎年、桜が満開になるころ、その手紙は、あらわれる。
私の家の近くに、長い桜並木の道がある。春になると、うすももいろの花が、トンネルのように、空をおおう、私のいちばん好きな場所だ。その並木の、いちばん奥にある、一本の、ひときわ大きな桜の木。その根もとの、うろ——木の幹にできた、小さなくぼみに、毎年、一通の手紙が、そっと、置かれているのだ。
私が、最初にそれを見つけたのは、七年前の春だった。