TellAria

あまやどりの王さま

正体を明かすか、ただの旅人のふりを続けるか、王さまは迷う。

Beginning

むかしむかし、小さな国に、わかい王さまがいました。王さまの名前はハルトといいました。ハルトは町や村を見て回るのが好きでした。けれども、いつも家来や兵隊といっしょでした。だから、村の人たちの本当のくらしを、よく知りませんでした。

ある日、ハルトはひとりで馬に乗って、遠くの村へ出かけました。「今日は王さまの服を着ないで、ふつうの旅人になろう。」ハルトはそう思いました。むかしから一度、村の人と同じように歩いてみたかったのです。だから、王さまは古い茶色のマントを着て、顔をかくして出かけました。

午後になると、空が暗くなりました。風がつよくなって、大つぶの雨がふりはじめました。「これは大変だ。」ハルトは馬を止めて、まわりを見ました。近くに大きな木も、お店もありませんでした。雨はどんどんつよくなって、ハルトのマントはびしょびしょになりました。