TellAria

ロボットのともだち

ロボットを工場に返すか、友だちとしてそばに置くか、少年は悩む。

Beginning

ある日の朝、ハルは公園の近くで、小さなロボットを見つけました。ロボットは草の中にたおれていました。体はさびていて、目の光は消えていました。 「だれかがすてたのかな。」 ハルは少しかなしくなりました。ハルはきかいが大すきです。こわれた時計やラジオを、いつも直していました。だから、このロボットも家に持って帰りました。 ハルは自分のへやで、ロボットを直しました。ネジをまわして、新しい電池を入れました。長い時間がかかりましたが、ハルはあきらめませんでした。 そして、夜になりました。とつぜん、ロボットの目が青く光りました。 「おはよう……いいえ、こんばんは。」とロボットが小さな声で言いました。 ハルはびっくりしました。そして、とてもうれしくなりました。 「うごいた! きみ、名前はあるの?」 ロボットは少し考えてから言いました。「わたしの名前は、ロボです。でも、わたしは、よくわかりません。『うれしい』とは、何ですか。」 ハルはわらいました。「うれしいは、いまのぼくの気もちだよ。心があたたかくなることだよ。」 ロボは目をぱちぱちさせました。「心……わたしには、心が、ありますか。」 ハルは少し考えました。ロボは工場で作られたきかいです。心を教えることは、できるのでしょうか。でも、ハルはやってみたいと思いました。 次の日、ハルとロボは公園へ行きました。空は青くて、風がやさしくふいていました。子どもたちがわらっていました。 「ロボ、あの音が聞こえる? あれは『たのしい』の音だよ。」とハルが言いました。 その時、一人の女の子が転びました。女の子はないていました。ロボはじっと女の子を見ました。 「ハル、あの子は、水を出しています。なぜですか。」 「あれはなみだだよ。かなしい時に出るんだ。」とハルは言いました。 ロボはしばらくだまっていました。それから、ゆっくりと女の子の方へ歩こうとしました。 「ハル、わたしは、何をすれば、いいですか。」 ハルの心はどきどきしました。ロボは、はじめて自分で何かをしようとしています。 ハルは考えました。ロボに、どう教えればいいでしょうか。