TellAria

わすれものの森

古い思い出を取り戻すか、新しい未来へ進むか、少女は迷う。

Beginning

むかし、町のはずれに ふしぎな森が ありました。その森は「わすれものの森」と よばれていました。人々が おとした 大切な ものや、わすれて しまった 思い出が、ぜんぶ その森に 集まると いわれて いました。 ある日、リコという 女の子が 森の 入り口に 立って いました。リコは 十さいです。お母さんから もらった 青い ハンカチを なくして しまったのです。それは とても 大切な ハンカチでした。 「森に 入れば、きっと 見つかる。」リコは そう 思いました。でも、お父さんは いつも 言って いました。「あの森には 入っては いけないよ。出られなく なるからね。」 リコは すこし こわかったです。でも、青い ハンカチが どうしても ほしかったのです。 リコが 森を 見て いると、足もとから 小さな 声が しました。「こんにちは。何を さがして いるの?」 下を 見ると、白い 小さな きつねが いました。きつねは しゃべる ことが できるのです。 「わたしは モモ。この森の あんない人だよ。」きつねは そう 言って、にっこり わらいました。 「わたしは リコ。青い ハンカチを さがして いるの。お母さんの 思い出が ある、大切な ハンカチなの。」 モモは うなずきました。「それなら、二つの 道が あるよ。」モモは 前足で 二つの 道を さししました。 「右の 道は、古い 思い出が ねむる ところ。お母さんとの 思い出も きっと ある。でも、その道は とても しずかで、すこし さびしいよ。」 「左の 道は、新しい 出会いが ある ところ。今まで 会った ことの ない ものたちが いる。でも、ハンカチは すぐには 見つからないかも しれない。」 リコは 道の 前で 立ちどまりました。風が やさしく ふいて、木の はが さらさらと 鳴りました。 古い 思い出の 道へ 行こうか。それとも、新しい 道へ 行こうか。リコは むねが どきどき しました。